当事者の声と抱えているリスク

文部科学省の令和2年度大学等卒業者の就職状況調査によると、大卒者の就職率は96.0%。コロナ禍においても、依然高い数値を維持しています。

しかし、就職できずに社会に出た学生は、どうなっているのでしょうか。文部科学省『学校基本調査』によると、2020年に卒業した高校生の55.4%が大学・短大に現役で進学しています。近年は、大学新増設と少子化による大学合格率の上昇により、本人・家族の希望と経済力次第で大学に進学できてしまう『大学全入時代』です。「大学さえ出たら良い就職ができる」と考えられていた彼らの親世代とはまるで違っています。

また、大学においては経営上の理由から学生数を確保しなければならず、学生の多様化が進んでいます。こうした背景で、コミュニケーションや社会性に困難があり孤立しがちな学生も、大学までは親や周囲のサポートでなんとか同級生に合わせて進学します。しかし、彼らが戸惑うのが就職活動です。

 
お金を払って教育を受ける立場から、働いてお金を得る立場に移行するハードルは高く、多くの就労困難学生がここで躓きます。

就職支援機関等を利用して自力で就職できる人はごく一部で、多くの若者は安定的な仕事に就けず、非正規雇用や仕事のミスマッチで丁寧な職業指導を受ける機会もなく、気持ちがすり減っていきます。

失敗体験を繰り返すことで自信を喪失し、社会参加意欲が減退することで、ひきこもりや精神疾患につながるリスクも高くなります。


※注1)多くの若者は公的支援(ハローワークや地域若者サポートステーション等)にはつながっていない。(認知率・求職活動に使用している媒体) ネットなどで仕事・バイト探しをしている実態が推測される。

一度社会に出て所属を失うと、孤立するリスクが高くなります。こうした若者を放置せず、孤立させない仕組みが必要です。

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